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言葉を覚えた幼児とその親に待っているのはなぜなに期で、しかし、それくらいの子供の親の年代は、せいぜいアラサー、まあ、20代が多数派なのかもしれない。母親は、一種使命感を持って、それに真摯に向き合おうとするのかもしれないが、それを台無しにするのが父親で、結構テキトーな事を子供に教え込む、なんてことも少なくないはずだ。
「『うらめしや』って何?」
という、幼児だったオレの問いに、ウチの父は
「それは、家の裏に飯屋があって、そこの飯が、酷く不味くてなあ」
などと言い、隣にいた、オレのイッコ下の娘(従妹)を持つ義叔父(母の妹の夫)は、
「飯粒をひっくり返すと、よく見ると一本筋があって、その両端が少し広がって、まるで弓矢の矢にみえるところが・・・」
などと、本当、アラサー(当時)の父親って仕方ない。
かと思えば、幼稚園児だった頃の事だ。多分、関西に住む結婚前の父の弟である当時教員をしていた叔父が、ウチに泊まりに来た時の朝、「マントルって何?」という問いに、台所のさっき食べた朝食の味噌汁の残りが入った鍋がかかったコンロの前に連れていき、火をかけ、地球の中心はものすごく温度が高いマグマ(厳密にいえば違うが幼児にはあえてそう言ったのだろう)があって、それはちょうど、この鍋の下の火のようなもので、その上、この地面の下に、このマントルというみそ汁のようなものが、ちょうど、こんな感じでうねうね動いている。これが対流というやつ、みたいな感じで教えてくれた。
いや、幼稚園児に言ってもわかんねーし、というようなことは実はなく、まぁ、マグマ大使は年代的にちょっと上の世代のもので、オレは「帰ってきたウルトラマン」ぐらいの世代で、それらに出てくる用語としてなじみがないわけではなく、まぁ、なんとなくは頭の中に思い浮かべることはできた。
しかし、長らく、マントルというと味噌汁のような液体というイメージが抜けなかった。本当はそれはそれで高温高圧にさらされている岩質のものであるというのに。
アニメ、特撮の影響もあったのだとは思う。それらのストーリーに合わせて虚構にすり替えられたものではないが、幼児、小学生ぐらいの子供に向けてかみ砕かれた内容ではあったとは思うが、しかし、そういう地面の下のこと、或いは宇宙の星のこと。そういうものは目にできる限りは一通りすべて目を通し見聞きする子供であったとは思う。
学校で話を合わせるために、長嶋が引退して監督になった巨人の話、1番柴田、又は高田、2番土井、3番張本、4番王、とか、何しろ、当地、正力松太郎の生地が近所にあり読売の本貫地的なところがあるし(ついでに言うなら、角川源蔵、春樹親子も当地出身。KADOKAWAは体制、ずいぶん変わってしまったが)、阪神ファンとか中日ファンとか広島ファンということはあまりない。パリーグ、何それ?である。話を仕入れたりはしたけれど、本当のところ、あまりその辺には興味はなく、地面の下のこと、星のこと、あと、車とか飛行機のことの方により興味を持っていたお子様だった。
ゴンドワナ大陸が、パンゲア大陸が・・・あまりの稀有壮大さに、それを思うと手が止まる。まれにだけどそんな感じでボーとしてたこともある子供ってどーよ?、て気もしないではない。
高校では文系理科で地学を選択した。今はよく知らないが、昭和60年ごろ理系に進んでいれば受験科目の関係でそういう選択はありえず、文系理科でも大多数は生物を選択するような時代だった。
今現在のオレの職業、かつては広告をやったりゲームの製作もをしたこともあったが、土木の、地耐力がうんたら、というようなことをやっている。フラグは幼児の時に立っていたのかな、とも思う。