8245 GT40 Mk.II _10
ネトフリに「Ford vs Ferrari」が上がってたので久しぶりに視た。いや、燃えるわ。基本、こういうのが好きなんだわ。他は割とどうでもよくて。
Mk.IIがルマンを制したのは、オレが生まれた年だ。1966年。今の事を思うと随分と原始的で野蛮なクルマでレースをやっていたものだと思う。燃料の自然流下は当然として、ホイールの組付けの時なんて、電動トルクレンチなんて何それ?って感じで、大ハンマーで殴って閉めたり緩めたりしてたんだからびっくりだ。燃調から何から何まで電子部品なんてものはなく、コンピューターのテレメーターなんてものもない。ただただドライバーの感覚が頼りという。
2輪も4輪も、70年代から80年代にかけて、ライダーやドライバーが主導してレギュレーションを安全側に大きく変えていった、との事。それだけならまだいいが、メーカーやらスポンサーやら興行者の思惑も絡んで、今や、レーサー達、随分と安全にレースをできるようになったが、彼らが、何か鳥かごか何かの中、ハムスターとかハツカネズミが、一所懸命回し車に乗って回してる様を幻視してしまう事があって、非常に寂しくなってしまう事がある。
徒にレーサーを危険にさらさないため、と言われてしまえば何の反論もできないが、生身で機械と、その向こうの生死と対峙していたかつてのレーサー達は、そういう物が持つ何とも言いようがない、風格というか凄みを持っていて、素直に男の子として憧れることができた。かつてのように明日がレースだというのに深酒してなんてもっての外で、今の前夜はホテルの部屋でテレビゲームやって適当な時間に寝る、それが自己管理、という感じの今のレーサーのコにはちょっと持ちえないんじゃないだろうか? まぁ、かつてのレーサー達より早く走るスキルは断然あるとは思うが。そう思うと、オレはオールドファンであって、今のレーサーは今のファンに応援してもらえたらいいのではないか、とついつい思ってしまい、若い頃のようにリザルト追っかけなくなって久しい。
とはいえ、ドラマの「不謹慎にもほどがある!」じゃないけれど、それより時代はずっと前になるけれど、一つ一つ映画の内容を書き出そうとすればするほど、今の時代じゃあり得ない事のオンパレードになってしまい、それは、とりもなおさず、この時代においては妥当性を失ってしまっていることに他ならない。
ここは、かつての時代を知り、ファンであった自分がラッキーだったのだと、あまり喧伝せず、なるべくひそやかに思っているだけにとどめておくことなのかな、と思う。寂しいと言ってしまえば寂しいことなんだろうが、まぁ、そういう物だ。
因みに画像は映画の主人公クリスチャン・ベイル演ずるケン・マイルズが駆ったMk.IIとは違うカラーリングである。