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2025年11月22日土曜日

"熊"に祟られる

 


 高市早苗という政治家になる前からいけすかないと思っていた人物を擁護するようなことを書くのは業腹だが、しかし、まあ、中国共産党政府に対しては、ここ最近の事について、この段階では一歩も引くべきではないと思っている。文句を言うとしたら、中国に対してそれなのに、金髪傲慢老害ジジイに対して売っていた媚びのあの気持ち悪さよ!

 何しろ、今年はどうも、「熊」に祟られる年、みたいだ。

 森で出会うリアル熊は、腹が減って気が立ってるのか、山を降りてくる回数も増えてきた。一方で、海の向こうの“プーさん”は、腹は減っていなさそうだが、領分への食欲だけは年々増しているところにきてこれだ。しかもこちらの柵を壊しながら、まるで自分の庭先みたいな顔でズンズン入ってきやがる。殊、国家主席のほうはサインを出すどころか、「あ、それウチの山だから」と言いながら杭を勝手に打ち直してきたりするのだから。


 更に言えば、こっちが手を打ちあぐねてるところなんかも、実に似ている。リアル熊には、電気柵を張るだの、鈴を鳴らすだの、自治体の予算を急に積み増すだの、“こっちも必死に対策してます感”は一応出すのだが、結局のところ後追いで、毎度「想定を超える個体数でした」「行動範囲が読みきれませんでした」の繰り返し。

 プーさんの方も同じ。衛星だの軍事同盟だの経済制裁だのと、手札はそれなりに並べてはいるものの、結局のところ「どこまで踏み込んでくるか」が読めず、こっちの対策は常に半歩遅れ、なんとなく“後手を踏んでいる絵”ばかりが世界に広まる。

 今回の件はどうか? 本気で怒っているというよりは、常に奴ら、こちらの付け入る隙を探っていて、ここぞ、と言う反応ではないかと思われる。

 山の熊も、大国の熊も、領域を広げるときは、こちらの迷いを嗅ぎ取るのが妙に上手い。そして、迷っている側は、どうしても腰が引ける。

 これが“祟られてる年”の空気なのだろう。どこかで一線を引く決断が必要なのは分かっているのだが、その線を引く前に、もう一歩、あっちが踏み込んでくる――そんな嫌な予感だけが先に立つ。


 熊同士の縄張り争いも、地政学も、原理はさほど変わらないのかもしれないが、問題はこっちが里で静かに暮らしたいだけの一般住民だという点だ。

 山が荒れる年には獣が出るように、世界が荒れる年には大国の“獣性”が出る……そういう意味では、2025年というのは実に象徴的な年なのかもしれない。


 彼の国からのインバウンドの激減は二兆円くらいいくんだそうな。で、浅草だったかその辺の、着物着てやたらツヤツヤした顔のおばさんが、中国人観光客のキャンセルが相次いでいることを涙目で訴えていたが、言っちゃわるいが、ちっとも同情する気にはなれなかった。

 逆に二兆円も中国人はお金を落としていたということになるが、その恩恵がこの国中に行き渡っていたと言えるか? 中国人が賃貸マンションを買い上げ、家賃を上げて以前からの住人を追い出して民泊施設にしようとしていた話やら、成田空港周辺での白タク行為などで迷惑していた人たちに、中国人観光客の恩恵を受けていた人たちが、気遣って見舞いしたとかなんとかそういう話は一切聞かない。

 地域的にいってもそうだ。東京、大阪、京都、沖縄など“ごく一部の観光地”に全体の約7割が集中し、地方の大半は恩恵“ほぼゼロ”ではないのか? しかも、京都など、そのいずれの地域においてさえ、潤っているのは宿泊業者、土産物屋ぐらいのもので、二兆円のほとんどは国全体ではなく一部地域の一部の産業にだけ落ちている。恩恵を受けなかった人たちには負担だけが押しつけられていた。

 二兆円という数字は確かに大きいが、その恩恵が全国に均等に行き渡っていたわけではない。むしろ実態としては、恩恵は、特定地域や一部産業(観光地・飲食・小売・宿泊)に限られる一方で、治安悪化、民泊化による地域破壊、賃貸市場の攪乱、交通混雑など、恩恵にあずかれない人々の負担が増している。そういった “外部不利益” が、利益を受けない人々に押し付けられていた側面がある。これは典型的な 利益の集中・負担の拡散 という構造だ。


 二兆円と言われれば確かにドキッとはするが、それくらいのコストを恩恵を受けていた人達以外が支払わされていたのだとも言える。


 ならば、それが、税収の減少には繋がっていくのだろうが、どれだけ減るのかは、今のところわからない。しかし、そもそもが、インバウンドが国内の治安や延いては他の産業振興よりも先に語られることが納得いかない。

 オレは、インバウンドが税収に与える影響は実は「限定的」と見ている。

 インバウンドが落ちた場合、消費税収の減少 → 最大でも数千億円レベル、GDP寄与は0.3%程度、雇用への影響も観光業に限定される。つまり、「日本全体の財政を揺るがす規模ではない」。

 逆にインバウンド依存を強めると、不動産高騰や、生活コスト上昇、地域コミュニティの崩壊、インフラ負荷増大(自治体コスト)

 などのほうが長期的なマイナスも考えられる。

 則ち、“二兆円の利益 vs 数兆円規模の社会的損失” という構図にもなり得る。


 そろそろ、GDPの上がり下がりで政策の良し悪しを評価することはやめなきゃいけないんじゃないかと思っている。

 GDPは “量的成長” を測る指標であって、社会の安定や、文化の持続性、地域共同体の健全性、安全保障、 などの “質”的な要素は反映できない。

 「GDPが増えるから正しい」、「GDPが落ちるからダメ」という思考法は、もはや現代日本の状況に合っていない。そろそろ評価軸を変えるべきタイミングに来ているように思われる。




 「GDPが下がるから対立姿勢をやめろ」という発想自体が、中国に外交カードを渡すメカニズムを温存する。今回、ここで退いてしまうことは、中国にみすみす、インバウンドというクソみたいな外交カードを進呈してしまうことになる。


 実際、観光ビザ発給や団体旅行の制限などを“外交圧力として”用いるのは中国の得意技だ。

 中国が観光制限を外交ツールとして使った事例としては、まず、韓国。THAADが配備されたときのことだ。団体旅行禁止、訪韓客前年比48%減少したそうな。台湾では政権交代の時、 団体旅行が30%以上減ったそうで、パラオが台湾と国交維持を表明すれば、団体旅行をほぼ全面停止したそうで。これらはすべて“政治的理由”で実施された。

 つまり、“観光は経済ではなく外交手段”というのが中国の基本姿勢。日本も対象になる可能性があることは数字で裏付けられる。インバウンド依存度が高い国 ほど、政治的に揺さぶられやすくなるのは構造的に真実で、ここは単純な経済論だけでは語れない。要するに 「中国の消費は金額が大きい」=「中国の政治的影響力も大きくなる」 ということだ。

 高市早苗の師匠筋の安倍晋三がことあるごとに民主党政権時代の失政をあげつらっていたが、10年以上それをひっぱるとは、コイツはアホなのか?と常々思っていた。アベノミクスなどという、共産主義的ユートピア思想と相似形をなすようなお花畑政策に拘って、ちゃんと元に戻せないオマエも相当なもんだぞ、と思っていた。

 勇ましいことを言っていた挙句、コロナ禍で強力なリーダーシップをとるわけでもなく、カビたマスクを各戸に1枚配っただけ、というのが、この人物の政治家としての底であったと思っている。それなりに高い支持率があったにもかかわらず憲法改正やるやる詐欺(個人的には自民党による憲法改正には同意しない)。丁度これを書いているこの週、例の銃撃事件の裁判が進行しているが、まぁ、殺人は良くない、殺されるべきではなかったが、あの家系三代、統一教会の問題では絶対に責任を取るべきだったと思うが、まぁ、生きていたとてそれは決してしなかっただろう。そう思うと、師匠筋とは言え、高市早苗は安倍晋三より、アクションが早い分いくらかマシなんじゃないかとは思う。勿論、その是非についてはオープンに議論されるべきだ。安倍晋三は旧来型の肝心なところをごまかす政治家の最後の殿だったと思っている。

 閑話休題。

 その安倍晋三が事あるごとに揶揄していた民主党政権の政策とは別に、今のインバウンド政策を始めたことこそが民主党政権の最大の失政だったと思っている。

 一般には、「民主党が緩和 → 安倍政権が拡大 → 爆買いブームで確立」という流れだが、問題は、インバウンド政策が“経済政策”ではなく“国際関係の構造リスク”を含む政策だったことが十分に議論されていなかった点にある。つまり、「観光客が来て金を落とす=良いこと」

 という単純モデルで国策化されてしまった。

 あの時、実はオレが思っていたのは、そこで国内産業ではなく観光業にテコ入れかよ!ぐらいだったのだが、長期的な非対称性(政治力の偏り)を懸念する声は、民主党はおろか、自民党の中からさえ上がらなかったようだ。まぁ、所詮は声の大きい凡人たちの集まりか。

 

 不動産市場の攪乱、地域社会への負荷、外国資本の土地取得、治安や交通インフラの脆弱性、そして“外交カードとしての観光”、これら問題は早い内から順に見えていたはずだ。始めたのは仕方ないとしても、次から次起きる、構造的問題を、ほぼまったく議論してこなかったのはどういうことだ?


 治安の悪化、訪日客の増加と比例して増えた犯罪についてみる。これは中国人に限った話ではないが、あの時期インバウンド依存を強めたことでどうなったかを見ていくために見てみた。

 警察庁のデータでは、訪日外国人急増期(2014〜2019)に外国人による刑法犯認知件数は約1.5倍に増加。とくに窃盗・違法営業・偽造系などが急増した。有意に比例関係があると言っていいのではないか?


 民泊による地域破壊はどうか? 観光庁のデータでは、民泊の届出(2018年開始)20万件超あったそうだが、うち「実質営業の確認が取れない」「無許可の疑い」が極めて多いとのこと。聞いたことはあるだろう。そして、観光地近隣で“ゴーストマンション化”が問題化しているというわけだ。

 京都市の調査では民泊が集中した地区では、ゴミ増加、騒音、長期住民の流出、コミュニティ崩壊、がはっきり確認されている。


 外国資本による不動産買い占めをどう考える? 国交省のデータでは、外国人による不動産購入額は2014〜2019の5年間で約3.2倍、うち中国系資本が約4〜5割を占めると推計される。北海道や九州、東京湾岸などで“投機的購入→民泊化”が相次いでいる。その中で、中国人が賃貸マンションを買い上げ、家賃を上げて従来の住民を追い出し民泊化したという話は、個別事例ではなく全国で確認された現象だ。

 「観光客が来て金を落とす=いいこと」というレベルの発想で国策化されたことが、“最大の失政”とオレが考える最大の点だ。インバウンド政策は、本来は経済政策と安全保障政策を両方扱うべき領域だった。それが欠落したまま、規模だけ拡大して10年以上続いた結果、今回のように“外交カードにされる”という構造的弱点がむき出しになった。


 中国に対してのみではない、アメリカに対してもそうあってほしいものだが、そして、それは日本だけの問題ではないが、現状の国際政治の場における、政治力の非対称性ということをもっと問題にしなくてはいけないのではあるまいか?と常々考えている。

 経済で中国に依存し、安全保障でアメリカに依存し、労働力でアジアに依存し、技術サプライチェーンで各国に依存し、という 多重依存の国になっている。

 依存は、外交力の非対称性を必然的に生む。そしてその非対称性は、目先のGDPには一切現れない。とはいえ、依存、というか、関係は保ち続けなくてはいけない。要は自律性がどれだけ担保できるかなのだ。

 今は、数値的経済効果より、政治的な自立性を維持するほうが重要な局面ではないか?


 国際政治の場では、強い国がルールを作り、依存する国はルールに従うしかなくなる。当分、これはどうしようもないことだけれど、問題意識は持ち続けるべきだろう。

 そして、とりあえず「インバウンド」という経済現象を通じて、日本の政治力が徐々に削がれていく構図、これはなんとかならないものか?



 あ、リアル熊の話、忘れてた。みんなどうしたいんだ? 人間が絶対正義とは決して言わないが、我々が我々の生活圏での安全のためにアクションを起こすことは決して間違っていない。それもまた生態系の変遷の一環だ。そうオレは思っている。


2025年7月15日火曜日

トランプのBRICSへの締め上げは有効か? そして日本は?

 

 ではトランプの締め上げは有効なんだろうか? ということ。寧ろここへきてのBRICSの連携はトランプ関税ゆえのものとも思えるが?
 
 結論から言えば、トランプの関税締め上げは「短期的には効果あり」「中長期的にはBRICS連携を加速させる逆効果の面が大きい」と評価できないか?

【1】短期的効果:制裁と恐怖による「牽制」

トランプの関税は、以下のような効果を持っている。

〇特定の新興国(例:南アやインドネシア)は「アメリカ市場の重要性」を再認識し、BRICS完全参加に消極的になった。

〇一部の企業(特にブラジルの農産物輸出企業など)が米国への輸出路を守るため、ドル決済を維持しようとした。 〇実際、2024年末~2025年初めにかけて、ブラジル・インド間でBRICS通貨導入に慎重論が出た背景には、こうしたアメリカの圧力がある。


 つまり、「今BRICSに傾くとアメリカから潰されるかも」という現実的リスク感は、参加国にとって無視できない。


【2】中長期的影響:トランプ関税が「米覇権からの離脱欲求」を刺激

 ただし、これは砂上の楼閣であり、トランプの圧力はむしろ以下のような「構造的反発」を生み出しているのではないか?

(A)関税で連携が強化される構図

〇トランプが関税を振りかざす → 各国が「米国依存の脆さ」を実感 → 通貨・貿易多様化へ
 例:トルコ・エジプト・アルゼンチンなど、BRICS外縁国が「非ドル圏での決済ルート模索」を加速

〇中国・ロシアの連携は深化(人民元建てエネルギー決済の増加、ロシアによる金建てルーブル戦略)

(B)関税が「ドル不信」「アメリカ不信」を制度化する

〇政治的に気に入らない国に関税・制裁を乱発する米国」という印象は、ドルそのものを“地政学リスク”に変質させている。

〇そのため、ドル離れ=リスク分散の論理がBRICS圏内では早晩「反米」ではなく「合理性」として共有されつつあるかもしれない。

【3】BRICSの通貨・決済戦略は逆に進展中

以下のような具体的進展が2025年に入って顕著だ。

 通貨で言えば、「BRICSペイ」(共通決済ネット)をリオ・サミットで正式採択(2025年7月)している。

 決済では、 ブラジル・中国・ロシアが「自国通貨・人民元・金建て」での3国間貿易システム構築が開始した。

 物流は、中国~中東~アフリカ経由の「反西側」経済回廊の整備が加速しているし、

 金融も、新開発銀行(BRICS銀行)によるドル建て融資の削減と自国通貨融資への移行しつつある。


 結論として、トランプの戦略は「火に油」の側面が強い気がする。

 短期的には、確かに一部の国・企業には効果あり。様子見姿勢を生んでいる。
 しかし中長期的には、米国依存のリスク回避を加速し、BRICS・脱ドル陣営の結束を逆に後押ししているということがあるだろうし、
 戦略的帰結として、アメリカの影響力は「市場」では残るが、「ルールメイカー」では次第に退潮へと向かう可能性が結構あるように思われる。


 つまり、「締め上げることで世界が逃げ始めた」状態だ。
  「恐怖で秩序を維持しようとした結果、逃散と連帯を招く」――これは歴史的にも繰り返されるパターンじゃないかと思う。


 願望を言うならば、日本は、これを機会に上手くアメリカを操れるぐらいになってほしいが?

 実際に今の国際情勢(米中・BRICS対立と米国の覇権揺らぎ)は、日本がアメリカとの関係を見直し、「言いなりではなく、交渉できる同盟国」として振る舞うチャンスに違いない。


 以下に、その可能性と障壁、戦略について整理してみた。

日本が「アメリカを操る」好機である理由

1. アメリカが日本を必要とする局面に入った。

〇アジア戦略上の要石:中国包囲網(AUKUS、QUAD)において日本は不可欠。
〇製造業回帰のパートナー:半導体・バッテリー・EVなど、サプライチェーン再編における日本の存在感。
〇経済的な従属から戦略的補完へ:円安を利用した日米企業協業が活性化。実は米国は日本の円安政策にもある程度譲歩している。

 要するに、日本は「代替不能な駒」になっている局面。ここに付け込めば、交渉の余地が生まれるとおもうのだが。


2. トランプの一国主義は“自国ファーストの同盟再定義”を促す

 トランプは「日本が防衛費をもっと負担すべき」と言うが、裏返せば「負担と引き換えに自主性を獲得できる交渉空間」が生まれる。特に、経済協力や通商問題では、従来より“ノー”を言いやすい構造が現れている。


 では対等な交渉に向かうには何が必要だろう?

 戦略的独立性はどうか? 現状、安保は米依存、経済は中国依存だが、独自外交、軍事判断能力の確保(経済安全保障含む)が可能になり得る。
 通貨・金融の主権性でいえば、日銀政策でのアメリカ配慮の現状だが、通貨・金利政策の国内優先と自立性維持を目指してもいいように思う。
 世論も成熟してほしい。対米従属でも「安心」と思う層が多数な現在だけど、対等外交を支える戦略的な国民意識の形成があってほしい。
 鍵となる知的交渉力だ。確かに官僚は優秀だが、政治は対米コンプレックスまみれ。民間・議会・外交官の“戦略語”と情報力強化があってほしい。

 どうすれば「アメリカを操る日本」になれるか? 大げさだな。対等な交渉力を持つ日本になれるか、だ。

 米中対立において、「仲裁」ではなく「秩序設計の補佐役」として動くというのはどうだ? 例えば、通貨の安定、技術基準、サプライチェーン標準などで「日米主導」の提案を行うとか。

 BRICSとも対話可能な“西側に留まりつつ橋渡しできる国”を演出するという手もある。日本は中国・ロシアの信任は得にくいが、インド・ブラジル・南アとの関係強化に成功すれば、対BRICS外交でも主導権を持てると思う。

 通商交渉で巧みに対米譲歩を逆手に取れたらいいなぁ。安全保障とセットで「これを飲むなら、こちらは譲る」のカードを持ち出してほしい。例で言うなら、デジタル貿易協定、EV補助金、対中輸出品目の扱いなどで譲歩を引き出すとか。

 日本が今やるべきは「依存から交渉への脱皮」であるといつも思う。 トランプのような「圧迫外交者」は、弱腰な国は吸い尽くすが、計算高い国には取引を持ちかける。日本がその後者になるか前者のままでいるかは、今この時期の外交と戦略次第だろう。


トランプはBRICSを警戒している

  今日のトランプ外交に関するニュース、みておいて。個別に理由(難癖)難癖)はつけてるけれど、BRICSが力を持つことにトランプは警戒しているとみた。


 以下が、2025年7月15日時点での「トランプ外交 × BRICS」関連の最新ニュース。

1. トランプ氏、BRICS支持国に対し追加10%関税を警告

 トランプ前大統領は7月6〜7日のBRICSサミット開催に合わせ、BRICSの“反米的政治”を支持する国に対し「追加10%関税を課す」と真剣に警告 Modern Diplomacy+6YouTube+6Reuters+6Al Jazeera+7TIME+7Reuters+7。BRICSがドル離れや新たな国際秩序の構築を模索する姿勢に強い警戒感を示している。

2. ブラジルを中心としたBRICS側の強い反発

 リオでのサミットでは、「我々は皇帝(emperor)を望まない」(ルラ大統領)と反論し、米国の圧力に対して主権尊重を訴えた 。

3. トランプ氏のブラジルへの50%関税示唆

 さらにトランプ氏は、ブラジルがボルソナーロ支持やアメリカ企業への圧迫をしたとして、「ブラジルには最大50%の関税を考えている」と発表 。

4. G20財務相会合でも米中・BRICSとの緊張続く

 南アフリカのダーバンで開催予定のG20財務相会合では、米国閣僚の欠席とトランプ政権の対BRICS制裁姿勢が議論の焦点となり、BRICS経済圏との亀裂が浮き彫りに Reuters+13Reuters+13YouTube+13


 トランプがBRICSに強硬な理由は何か?


1.ドル基軸の維持
 BRICSがドル離れや独自通貨・決済ルートの構築を進めれば、ドルの世界基軸通貨としての地位が揺らぎ、結果的に米国の財政政策や制裁能力にも影響する 。

2.貿易・関税圧力による連携分断
 関税制裁を通じて、BRICS内や親米派との間に緊張を作り、連携削減と米国の交渉カード強化を狙っている。

3.国内向けのアピール
 愛国的な「America First」的姿勢を強調し、支持基盤を固める戦略とも見られる。


 ブラジルなどBRICS側の反応として、

〇ルラ・ダ・シルヴァ(ブラジル):「我々は皇帝を望まない」「多極化を求めている」

〇南アフリカや中国も「制裁や関税の脅しは一方的な圧力であり、受け入れない」と声明 Reuters+6Reuters+6nhpr.org+6

 BRICSは米国と距離を置く形で、ドル支配に対抗しつつ独自の影響力を強化しようとしており、一部ではBRICSが「ドル=西側秩序」に対抗するポスト・ウェスタン勢力になる可能性もあるとの見方が強まっている apnews.com

 結論として、「BRICSが力をつけつつある局面で、トランプ氏はそのドル支配と米国優位を揺るがす動きに敏感で強く反応している」と言える。これは単なる政治的流行ではなく、世界秩序へ直結する戦略的な動きではなか?

 この中で、ロシアだけは別の切り口のアクションをとっている。トランプがロシアに対して示すスタンスは、必ずしもウクライナや戦争被害に対する「共感」や「人道的立場」から来ているわけではなく、BRICSや国際通貨・貿易秩序の再編に対する米国の権益防衛という、別軸の動機が強く表れていると見るのが妥当だろう。

以下にその切り口を整理する。


トランプの対ロシア姿勢:ウクライナ問題 vs. グローバル秩序

切り口

通常の見方

トランプの視点(と思われる)

ウクライナ戦争

領土侵略・人権侵害として非難

「戦争は米国にとって損。金と兵器を使わせられている」=損得勘定

対ロ制裁

民主主義防衛のための正義

「エネルギー高騰、自国経済に不利益」として否定的

NATO拡張と対ロ対立

西側の結束を示す

「ヨーロッパに米国がただ乗りされてる」として批判

ロシアのBRICS参加・主導

多極化・反米ブロック形成

←ここにトランプが強く警戒している可能性が高い




 ロシアを「脱ドル陣営の司令塔」と見ているものと思われる。

ロシアはBRICS内で最も積極的に「脱ドル」「非西側通貨圏」形成を推進している国だ。中国・インドとの決済ではすでにドルを使わず、ルーブル・人民元・金建ての取引を進めており、それをBRICS新通貨構想へとつなげようとしている。トランプにとっての最大の敵は「アメリカを貧しくするグローバル経済秩序の変化」であり、ロシアは「地政学的ライバル」よりも「金融秩序転覆のエンジン」として敵視されていると見られる。

 トランプはウクライナへの武器支援に否定的ながら、ロシアの中国・イラン・BRICSとの結びつきにはかなりの懸念を示しています(最近の演説でも「ロシアはドルを殺そうとしている」と発言)。それが堪忍袋が切れたように一転。ウクライナへの兵器供与を表明した。
 どうも「ロシアがやっているのは間違っている」と言いつつも、それは“戦争が悪”という意味ではなく、“世界経済の枠組みを壊す行動”という認識のようだ。

  結論として、トランプの対ロ姿勢は「ウクライナよりドルの防衛」なのであろう。したがって、

〇ウクライナ戦争は、トランプにとって「コスト」としての認識
〇ロシアは「反米通貨圏」の核として警戒されている
〇BRICS拡張と脱ドル化が、外交の主軸テーマ

という視座でトランプ外交を読むのが妥当と思われる。


トランプの対ロ・BRICSスタンスの本質として、ロシアやBRICSに対して取る姿勢は、「ウクライナ戦争への共感」よりも、むしろドル基軸通貨体制とアメリカの国際的権益の防衛という観点から動機づけられていると判断できる。

 具体的根拠と動きとして

1.ロシアに100%関税を示唆とある。トランプは「ロシアが50日以内に和平条約を結ばなければ、ロシアと取引する国に対し100%関税を課す」と迫っている TIME+1Reuters+1。これは戦場そのものよりも、「ロシア経済を通じたドル基軸体制への挑戦」に着目している証拠だ。

2.BRICS脱ドル化に対する激しい警戒しているようだ。「BRICSがドルに代わる新通貨を目指すなら、10~100%の追加関税で阻止する」と繰り返し述べ、これは「経済の再編=戦争行為」に等しい、と発言している 。

3.BRICS拡大・多極化への対抗意思を露わにしている。トランプはBRICSを標的に「アンチ・アメリカ」とし、参加国全体への追加関税を警告 。これ自体が、「多極化を牽制し、ドル支配を維持したい」という意図を示している。


📉 ウクライナ vs ドル体制防衛

視点

ウクライナ戦争

ドル基軸防衛

トランプの関心

コスト(武器・資金提供)と疲弊

主権的・金融システムの安定維持

対ロ制裁の論理

「不正」や「侵略への非難」ではなく、米経済・影響力への負荷としての評価

「ドルの地位が脅かされている」と明確に述べる

BRICSへの反応

軍事的展望の一部と見る程度

通貨秩序を含む構造的挑戦と見なし、強硬姿勢


→ 結果として、ロシアやBRICSへの厳しい措置は、ウクライナ情勢より「ドル支配体制を守る」という戦略目的に強く根ざしていると分析できないか?


 トランプにとってロシア・BRICSは「地政学リスク」ではなく、「経済秩序の基幹であるドル体制を脅かす構造的脅威」である。したがって、制裁や関税は「正義の武装」ではなく、「通貨覇権の防波堤」として機能しています。ウクライナ戦争への言及はこの文脈の付属物にすぎず、主戦線は「国際金融秩序の戦略的維持」なのだろう。

 と考えれば、トランプ外交は「ウクライナ問題の外交」ではなく、「ドルのシステム維持戦略」として一貫していることが鮮明になりはしないか?


何かテレビのニュースとかでここまで言わないから、書いてみた。