高市早苗という政治家になる前からいけすかないと思っていた人物を擁護するようなことを書くのは業腹だが、しかし、まあ、中国共産党政府に対しては、ここ最近の事について、この段階では一歩も引くべきではないと思っている。文句を言うとしたら、中国に対してそれなのに、金髪傲慢老害ジジイに対して売っていた媚びのあの気持ち悪さよ!
何しろ、今年はどうも、「熊」に祟られる年、みたいだ。
森で出会うリアル熊は、腹が減って気が立ってるのか、山を降りてくる回数も増えてきた。一方で、海の向こうの“プーさん”は、腹は減っていなさそうだが、領分への食欲だけは年々増しているところにきてこれだ。しかもこちらの柵を壊しながら、まるで自分の庭先みたいな顔でズンズン入ってきやがる。殊、国家主席のほうはサインを出すどころか、「あ、それウチの山だから」と言いながら杭を勝手に打ち直してきたりするのだから。
更に言えば、こっちが手を打ちあぐねてるところなんかも、実に似ている。リアル熊には、電気柵を張るだの、鈴を鳴らすだの、自治体の予算を急に積み増すだの、“こっちも必死に対策してます感”は一応出すのだが、結局のところ後追いで、毎度「想定を超える個体数でした」「行動範囲が読みきれませんでした」の繰り返し。
プーさんの方も同じ。衛星だの軍事同盟だの経済制裁だのと、手札はそれなりに並べてはいるものの、結局のところ「どこまで踏み込んでくるか」が読めず、こっちの対策は常に半歩遅れ、なんとなく“後手を踏んでいる絵”ばかりが世界に広まる。
今回の件はどうか? 本気で怒っているというよりは、常に奴ら、こちらの付け入る隙を探っていて、ここぞ、と言う反応ではないかと思われる。
山の熊も、大国の熊も、領域を広げるときは、こちらの迷いを嗅ぎ取るのが妙に上手い。そして、迷っている側は、どうしても腰が引ける。
これが“祟られてる年”の空気なのだろう。どこかで一線を引く決断が必要なのは分かっているのだが、その線を引く前に、もう一歩、あっちが踏み込んでくる――そんな嫌な予感だけが先に立つ。
熊同士の縄張り争いも、地政学も、原理はさほど変わらないのかもしれないが、問題はこっちが里で静かに暮らしたいだけの一般住民だという点だ。
山が荒れる年には獣が出るように、世界が荒れる年には大国の“獣性”が出る……そういう意味では、2025年というのは実に象徴的な年なのかもしれない。
彼の国からのインバウンドの激減は二兆円くらいいくんだそうな。で、浅草だったかその辺の、着物着てやたらツヤツヤした顔のおばさんが、中国人観光客のキャンセルが相次いでいることを涙目で訴えていたが、言っちゃわるいが、ちっとも同情する気にはなれなかった。
逆に二兆円も中国人はお金を落としていたということになるが、その恩恵がこの国中に行き渡っていたと言えるか? 中国人が賃貸マンションを買い上げ、家賃を上げて以前からの住人を追い出して民泊施設にしようとしていた話やら、成田空港周辺での白タク行為などで迷惑していた人たちに、中国人観光客の恩恵を受けていた人たちが、気遣って見舞いしたとかなんとかそういう話は一切聞かない。
地域的にいってもそうだ。東京、大阪、京都、沖縄など“ごく一部の観光地”に全体の約7割が集中し、地方の大半は恩恵“ほぼゼロ”ではないのか? しかも、京都など、そのいずれの地域においてさえ、潤っているのは宿泊業者、土産物屋ぐらいのもので、二兆円のほとんどは国全体ではなく一部地域の一部の産業にだけ落ちている。恩恵を受けなかった人たちには負担だけが押しつけられていた。
二兆円という数字は確かに大きいが、その恩恵が全国に均等に行き渡っていたわけではない。むしろ実態としては、恩恵は、特定地域や一部産業(観光地・飲食・小売・宿泊)に限られる一方で、治安悪化、民泊化による地域破壊、賃貸市場の攪乱、交通混雑など、恩恵にあずかれない人々の負担が増している。そういった “外部不利益” が、利益を受けない人々に押し付けられていた側面がある。これは典型的な 利益の集中・負担の拡散 という構造だ。
二兆円と言われれば確かにドキッとはするが、それくらいのコストを恩恵を受けていた人達以外が支払わされていたのだとも言える。
ならば、それが、税収の減少には繋がっていくのだろうが、どれだけ減るのかは、今のところわからない。しかし、そもそもが、インバウンドが国内の治安や延いては他の産業振興よりも先に語られることが納得いかない。
オレは、インバウンドが税収に与える影響は実は「限定的」と見ている。
インバウンドが落ちた場合、消費税収の減少 → 最大でも数千億円レベル、GDP寄与は0.3%程度、雇用への影響も観光業に限定される。つまり、「日本全体の財政を揺るがす規模ではない」。
逆にインバウンド依存を強めると、不動産高騰や、生活コスト上昇、地域コミュニティの崩壊、インフラ負荷増大(自治体コスト)
などのほうが長期的なマイナスも考えられる。
則ち、“二兆円の利益 vs 数兆円規模の社会的損失” という構図にもなり得る。
そろそろ、GDPの上がり下がりで政策の良し悪しを評価することはやめなきゃいけないんじゃないかと思っている。
GDPは “量的成長” を測る指標であって、社会の安定や、文化の持続性、地域共同体の健全性、安全保障、 などの “質”的な要素は反映できない。
「GDPが増えるから正しい」、「GDPが落ちるからダメ」という思考法は、もはや現代日本の状況に合っていない。そろそろ評価軸を変えるべきタイミングに来ているように思われる。
「GDPが下がるから対立姿勢をやめろ」という発想自体が、中国に外交カードを渡すメカニズムを温存する。今回、ここで退いてしまうことは、中国にみすみす、インバウンドというクソみたいな外交カードを進呈してしまうことになる。
実際、観光ビザ発給や団体旅行の制限などを“外交圧力として”用いるのは中国の得意技だ。
中国が観光制限を外交ツールとして使った事例としては、まず、韓国。THAADが配備されたときのことだ。団体旅行禁止、訪韓客前年比48%減少したそうな。台湾では政権交代の時、 団体旅行が30%以上減ったそうで、パラオが台湾と国交維持を表明すれば、団体旅行をほぼ全面停止したそうで。これらはすべて“政治的理由”で実施された。
つまり、“観光は経済ではなく外交手段”というのが中国の基本姿勢。日本も対象になる可能性があることは数字で裏付けられる。インバウンド依存度が高い国 ほど、政治的に揺さぶられやすくなるのは構造的に真実で、ここは単純な経済論だけでは語れない。要するに 「中国の消費は金額が大きい」=「中国の政治的影響力も大きくなる」 ということだ。
高市早苗の師匠筋の安倍晋三がことあるごとに民主党政権時代の失政をあげつらっていたが、10年以上それをひっぱるとは、コイツはアホなのか?と常々思っていた。アベノミクスなどという、共産主義的ユートピア思想と相似形をなすようなお花畑政策に拘って、ちゃんと元に戻せないオマエも相当なもんだぞ、と思っていた。
勇ましいことを言っていた挙句、コロナ禍で強力なリーダーシップをとるわけでもなく、カビたマスクを各戸に1枚配っただけ、というのが、この人物の政治家としての底であったと思っている。それなりに高い支持率があったにもかかわらず憲法改正やるやる詐欺(個人的には自民党による憲法改正には同意しない)。丁度これを書いているこの週、例の銃撃事件の裁判が進行しているが、まぁ、殺人は良くない、殺されるべきではなかったが、あの家系三代、統一教会の問題では絶対に責任を取るべきだったと思うが、まぁ、生きていたとてそれは決してしなかっただろう。そう思うと、師匠筋とは言え、高市早苗は安倍晋三より、アクションが早い分いくらかマシなんじゃないかとは思う。勿論、その是非についてはオープンに議論されるべきだ。安倍晋三は旧来型の肝心なところをごまかす政治家の最後の殿だったと思っている。
閑話休題。
その安倍晋三が事あるごとに揶揄していた民主党政権の政策とは別に、今のインバウンド政策を始めたことこそが民主党政権の最大の失政だったと思っている。
一般には、「民主党が緩和 → 安倍政権が拡大 → 爆買いブームで確立」という流れだが、問題は、インバウンド政策が“経済政策”ではなく“国際関係の構造リスク”を含む政策だったことが十分に議論されていなかった点にある。つまり、「観光客が来て金を落とす=良いこと」
という単純モデルで国策化されてしまった。
あの時、実はオレが思っていたのは、そこで国内産業ではなく観光業にテコ入れかよ!ぐらいだったのだが、長期的な非対称性(政治力の偏り)を懸念する声は、民主党はおろか、自民党の中からさえ上がらなかったようだ。まぁ、所詮は声の大きい凡人たちの集まりか。
不動産市場の攪乱、地域社会への負荷、外国資本の土地取得、治安や交通インフラの脆弱性、そして“外交カードとしての観光”、これら問題は早い内から順に見えていたはずだ。始めたのは仕方ないとしても、次から次起きる、構造的問題を、ほぼまったく議論してこなかったのはどういうことだ?
治安の悪化、訪日客の増加と比例して増えた犯罪についてみる。これは中国人に限った話ではないが、あの時期インバウンド依存を強めたことでどうなったかを見ていくために見てみた。
警察庁のデータでは、訪日外国人急増期(2014〜2019)に外国人による刑法犯認知件数は約1.5倍に増加。とくに窃盗・違法営業・偽造系などが急増した。有意に比例関係があると言っていいのではないか?
民泊による地域破壊はどうか? 観光庁のデータでは、民泊の届出(2018年開始)20万件超あったそうだが、うち「実質営業の確認が取れない」「無許可の疑い」が極めて多いとのこと。聞いたことはあるだろう。そして、観光地近隣で“ゴーストマンション化”が問題化しているというわけだ。
京都市の調査では民泊が集中した地区では、ゴミ増加、騒音、長期住民の流出、コミュニティ崩壊、がはっきり確認されている。
外国資本による不動産買い占めをどう考える? 国交省のデータでは、外国人による不動産購入額は2014〜2019の5年間で約3.2倍、うち中国系資本が約4〜5割を占めると推計される。北海道や九州、東京湾岸などで“投機的購入→民泊化”が相次いでいる。その中で、中国人が賃貸マンションを買い上げ、家賃を上げて従来の住民を追い出し民泊化したという話は、個別事例ではなく全国で確認された現象だ。
「観光客が来て金を落とす=いいこと」というレベルの発想で国策化されたことが、“最大の失政”とオレが考える最大の点だ。インバウンド政策は、本来は経済政策と安全保障政策を両方扱うべき領域だった。それが欠落したまま、規模だけ拡大して10年以上続いた結果、今回のように“外交カードにされる”という構造的弱点がむき出しになった。
中国に対してのみではない、アメリカに対してもそうあってほしいものだが、そして、それは日本だけの問題ではないが、現状の国際政治の場における、政治力の非対称性ということをもっと問題にしなくてはいけないのではあるまいか?と常々考えている。
経済で中国に依存し、安全保障でアメリカに依存し、労働力でアジアに依存し、技術サプライチェーンで各国に依存し、という 多重依存の国になっている。
依存は、外交力の非対称性を必然的に生む。そしてその非対称性は、目先のGDPには一切現れない。とはいえ、依存、というか、関係は保ち続けなくてはいけない。要は自律性がどれだけ担保できるかなのだ。
今は、数値的経済効果より、政治的な自立性を維持するほうが重要な局面ではないか?
国際政治の場では、強い国がルールを作り、依存する国はルールに従うしかなくなる。当分、これはどうしようもないことだけれど、問題意識は持ち続けるべきだろう。
そして、とりあえず「インバウンド」という経済現象を通じて、日本の政治力が徐々に削がれていく構図、これはなんとかならないものか?
あ、リアル熊の話、忘れてた。みんなどうしたいんだ? 人間が絶対正義とは決して言わないが、我々が我々の生活圏での安全のためにアクションを起こすことは決して間違っていない。それもまた生態系の変遷の一環だ。そうオレは思っている。
