7278 GPz400R_5
「男はつらいよ」に関し 2
第44作「寅次郎の告白」の最後の方、ちらっと出てくる満男君の愛車、シレッとした顔して、スパーダからGPz400Rに替わっておりました。流すところですが、あの鹿児島まで行ったいわば相棒、さらっと買い替えてしまったか、山田洋次さん、小道具スタッフが替えてしまったことにも頓着しなかったか、それとも、まぁ、それなりに時間も経ち、映画で語られないところで買い替えのドラマとも言えない何かがあったことにしたのか。まぁ、ホントどうでもいいですね。
いや、どうでもよくないか。公開当時、「寅さん」なんて見なかった、単車乗りを中心にした満男と同世代が、今更「男はつらいよ」シリーズ見ることもあると思うんだが、多分、山田洋次氏的には、その当時のよくいる若者のキャラ付けするための小道具以上の意味はなかったように思うんだが、スパーダからGPz、ホンダからカワサキへの買い替えって、ないわけではないが、それなりの事はあったと思うし、単車に乗っていたという事実自体、満男のキャラクターメイキングにそれなりのポジションを占める事実であったと思われる。当時としては確かに特別、というほどの事ではなかったとは思うが、伯父に影響を受けた、という部分では効果的な小道具ではなかったと思われる。思い付き、思い込みで鹿児島まで行っちゃうところとかね。満男クン、例え泉ちゃんが絡んでいなくても、いろいろ経験したのかな、GPzに乗って、とか、想像してしまう。
さて、寅さん、車寅次郎氏のことである。シリーズ通じてである。繰り返すが、何度もじっくり見たわけではないので見落としがあるのかもしれないが、テキ屋をやっていて、商材の仕入れの場面ってあったんだろうか? と思ったりするが、ちょっと思いつかない。商売として、あれは成り立っていたんだろうか?と。
売り口上はほぼ超が付くくらいの一流だったとしよう。しかし、旅姿は、空色のダボシャツ、辛子色のジャケットを腕を通さずにはおるだけ、ソフト帽を外すことはめったになく、あとは古ぼけた革のトランク一つ。商材を持ち歩いているようには思えないし、高額で利益率の高いものを売っているようにも思えない。行く先々で伝手で商材を仕入れ、その場で売っていたということなんだろうか? あの世界の事は全くわからないが、なんかちょっとな、今じゃ絶対あり得ないし、寅さんが活躍した高度経済成長期末期からバブル期、平成の何年間かの間であっても、それだけでやって行けたとはとても思えないのだが、そこは蛇の道は蛇なのかな?
あと性格。一応振られはするけれどもてないわけではない、なぜか気になるチャーミングな人物ということになっているが、殊現在、リアルであんな人が身近にいたら、ちょっと困る。
そういう人物も受け入れられたおおらかな時代、といえばいいのかしら? でも、やはりスクリーンの中だけにしていただきたいんじゃないかしら?
まぁ、寅さんは極端にしても、みんな優しく、弱いけれど強く、聖人でもないが悪人でもない。一所懸命生きている。悲しい顔をすることはあるけれど、暗い目はしない、そういう人たちの時代。ノスタルジーに浸るだけなんだろうか? オレの場合はNETFLIXで確認がてらみてるけれど、やがて物悲しくなる。