多分5歳の頃だったと思う。同じころにあさま山荘事件、ずっとテレビでやってたのを覚えているから、寒い時期だったのではないかと思う。その頃は父の勤務地の都合で福井市に住んでいたのだが、特に身体に不都合を感じていた覚えはないのだが、「肺炎」で入院していたことがある。両親にすればその親、オレからすれば祖父母が近くにいるわけではない、不安も多々あっただろう。
福井駅にほど近い割と大きめの病院だった。
とにかく、身体に特に不都合、何らかの症状を感じていないお子様だったから、親の目を盗んでは病院の中、いろいろ歩いて回った、ような記憶がある。それほど大した病気ではなかったのだ。
両親の故郷の高岡から、母方の、だったかな、父方のだったかな、祖母が見舞いに来た。何しろ病院中ぺたぺた歩き回るくらい退屈していたお子様だったので、病院の売店でお絵描きセットを買い与えられた。お絵描き帳と何色かのカラーペンが、厚紙をビニールで包まれたバックに入ったヤツ。
オレのは、赤いレーシングカーが右から左に疾走中のやつで、入院もしていない妹にもなぜか、恐らくは細川智栄子氏の絵柄と思われる少女のキャラクターが描かれたもの。
脱線する。細川氏の「王家の紋章」、いまだ連載中というのを最近知った。びっくりした。その作品のほとんどは1970年代のもので、「王家の紋章」も連載開始が1976年とwikipediaには書いてある。どのようなペースでの連載化は知らぬ。よく長期連載で引き合いに出される「ゴルゴ13」「こち亀」「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」ほどの掲載頻度ではないのかもしれない。良く知らないのだけれど、wiki情報では氏も、ウチの両親と同世代。長生きしていただけますように。
で、「王家の紋章」ではなく、赤いレーシングカー。
教員を勤め上げた叔父によれば、教育心理学か発達心理学か、その辺の学問で、そういう事例について学ぶこともあるそうなのだが、物の全体像、あるいはほんの一部分を見てそれが何であるか正確に言い当てる幼児というのは、割といるそうで、オレの大学の名古屋出身の先輩もそうであったらしいのだが、人様の言葉を満足にしゃべる前から、クルマの形、全体像は勿論、ミラーやテールランプだけを見て車種を言い当てるお子様だったらしいですよ、オレは。
とにかく、自動車がそんな頃から好きだったらしい。
因みに、その「肺炎」なんだが、誤診であったと聞かされた。子供、幼児だったから詳しいことは聞かされてはいない。親は当然というか、釈然とした表情ではなかったと思う。
大人になって、今現在福井市に在住している方に聞いた話では、その病院、福井市民にはやはりというか藪医者との評判だっただそうだが、とっくに代替わりもしたはずで、でも、50年経った今もそれなりに結構の規模で営業しておられるらしいので、実際はそうではないのかもしれない。
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