そこに至る過程を、開陳したいと思う。
聞いたことあるでしょ? 日本のみならず、全世界を通して富というのは、ちょっと想像を絶するくらいに偏在しているということを。怒りを覚えたり、怒りすらわかず呆れたり、あまりの偏り具合に多分フィクションの類のものだろうと興味を失ったり。んで、ちらっと、ホントちらっとだけ思ったはずだ。どうせそんな馬鹿みたいに金持ってても使いきれないんだろうから、ビンボーなやつにまわしてやれよ、と。そこまで思って、その話題は意識からそれていった、ということが多いのではないか? だって、そんなのは自分の今の暮らし向きとは全然世界が違う。自分が興味を持つべきところは他にあるはずだと。
あの話、正確なところはどういう数字だったか思い出してみる。
現在、世界の富の不均衡を示す代表的な統計として、次のような事実がある。
世界の最富裕層1%が、世界全体の富の47.5%を保有している
UBSの「Global Wealth Report 2024」によれば、2023年時点で、資産100万ドル以上を持つ上位1%の人々が、世界の総資産の47.5%(約214兆ドル)を所有しています。 Inequality.org最富裕層1%が、世界の下位95%の人々よりも多くの富を保有している
Oxfamの分析によると、世界の最富裕層1%は、世界人口の下位95%を合わせたよりも多くの富を所有しています。 Oxfam International
100人いたとして、その内の一人だけが超金持ちで、ありえない話だが、そこに100万円あったとしたら、その内47万5千円をその金持ちが持っている。残りの99人の平均所持金が5300円ちょっと、という世界。
または、金持ちの上から5人で、51万円、上でその内47万5千円は1番金持ちが持っているのだから、2番目から5番目までの4人で平均8750円持っていて、後の95人は平均5160円も持っていない世界、ということだ。
為替とか何とかあるから、そこまで単純な話ではないのだろうが、ぶっちゃければそう言う意味である。
この99人なり、95人の中でも内訳はいろいろあって、それでも何とか衣食住にありつけている人もいれば、文字通りの素寒貧、食うものもない人だって多数いるということに思いあたるべきだ。
これらの統計は、世界の富がごく少数の超富裕層に集中していることを示していて、経済的不平等の深刻さを物語っている。この偏りがよりによって平均5000円ちょっとしか持たない者から、今もなお絶賛吸い上げ中という仕組みの上で出来上がっていることだからだ。
このような不均衡を是正するために、国際的な課税制度の整備や富裕層への課税強化などの議論が進められているらしいが。
先ごろ、自分の死後という時期を、その偏りの深刻さに2030年への前倒しを決めて、全資産を寄付するとビル・ゲイツ氏が表明したことがニュースになっていたが、ゲイツ氏とウォーレン・バフェット氏が極めて例外的で、他にそう言う話は、ほとんど聞かない。
そのような富など、一生どころか、孫くらいまでも使いきれないと思うのだが、なぜ、そのような富を分配するとか考えないのだろう。思考とか論理ってどんなものなのだろう?
これは、経済的な欲望以上に、人間の心理、社会的地位、そして世界のシステムそのものに根ざしたものではないかと思う。いくつかの観点から考えてみる。